2020/08/17 天気の子は選択を肯定する物語
◆注意書き
僕の理性的な大人部分が邪魔して前座でごちゃごちゃ言ってますけど、
それは作動音だと思って見逃してください。
結論から言って、僕はこの作品見て良かったと思いました。
主人公に共感する気持ちがあることに安心していいのか、それとも悲しく感じた方がいいのか判断がつかんけどね。
◆前座
音楽と演出を壮大にしすぎてて脳内で実際に行動をシミュレートしてみると実現ができそうになくて違和感がある。
壮大であるがゆえに行動のチープさが目に着くというか。偶然要因が多すぎない?
◆感想
そこはまあさておき、今作は世界のために犠牲になるヒロインをよしとせず、どちらも救うという御都合主義的な展開にもせず、ただ「選択」するということを肯定した作品だと感じた。個人の幸せを重視して誹りを受けるのはなんというか覚悟がいることであるのだろう。
そこを肯定するというのは、ある種の「大人への拒絶」なのだと思う。
人生においてなにが価値ある物か、それは人によって違うけど、この作品で表現された「煌めき」は思春期の一瞬でしか出てこないものだということなのだろうな。
それは冒頭の、子供であるがゆえの不能感、そしてエピローグとの対比からも狙った言いたいことだと思う。
その思春期の煌めきを志向とするのが新海誠という作家の持ち味なのかな?と思った。
「愛にできること、まだあるかい?」
◆他の人のレビューを読んでから思ったこと
主人公の生い立ちがわからないから感情移入ができないというレビューがあったが、そこはオミットしても「わかってくれる」視聴者の「世界への不満を抱いてる青年」部分にだけでも届けばいいという割り切りだと思った、良くも悪くも少年少女向けというか。ターゲット選択からしても過去より未来を意識した映画だな、と思った。
◆おまけ(僕の作品に対する姿勢)
作品を見るからには誰かの何かを動かさないと意味がない、と思っている。
たとえば予定調和の大団円を迎える大傑作。大衆に受け入れられる娯楽。
疲れた時に癒されるような作品は必要だし、社会にとって確実に必要なものだと思う。
僕だってもちろん好きな作品はある。
だけど、僕は関わるなら意味のある関わりであって欲しい、と願っている。
プラスにせよマイナスにせよ影響を与えないと、そもそもつまらないように感じる。
何が言いたいのかというと要するに、僕は完璧な非の打ち所がない作品も好きですが、すごく好きになる作品は、
賛否両論ある作品であることが多いってことです。
そういった意味で「君の名は」よりも「天気の子」の方が好きだな。