ざっと分かるセトノブログ

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『孫氏の兵法』の要約(1~3章)

こんにちはセトノです。

先日Twitterのやりとりで『孫氏の兵法』が話題に上がりました。

そんな時。

ふと、

「そういえば学生時代に、本の内容が面白かったので情報整理のためにWordにまとめてレポートのようなものを作っていたな」

と思い出しました。

今回は発掘したレポートもどきを使って本の内容の一部をご紹介いたします。

 

この記事の流れは、

 

本の特徴

本全体の目次

1~3章の内容紹介

 

という感じです。

では行ってみましょう。

 

◆特徴

★1:非好戦的(当世の戦国の模様を反映している)

EX「百戦百勝は善の善なるものにあらざるなり。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるなるものなり。」

 

★2:現実主義的(実体験の深さ、精密な現実観察から)

EX「勝兵士は先ず勝ちてしかる後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いてしかる後に勝を求む」

 

★3:戦争の主導権を制することの重要さが繰り返して強調されている。

 

◆目次

★総論(戦争を行うということについて概論)の章

☆1:計(戦争の前によく熟慮すべきこと)

☆2:作戦(戦争を始めるにあたって軍備の問題から動員補充などの計画)

☆3:謀攻(謀慮によるう攻撃「戦わずして勝つ要道」)

 

★戦争の一般的な構造規定(戦術原論)の章

☆4:形(攻守の態勢について)

☆5:勢(その態勢から発動する軍の勢いについて)

☆6:虚実(それを受けて戦争の主導性(実)の把握について)

 

★実践にあたっての有益な細かい戦術の章

☆7:軍事

☆8:九変

☆9:行軍

☆10:地形

☆11:九地

 

★特殊戦術の章

☆12:火攻(火攻め)

☆13:用間(スパイ)

 

◆本文

★総論(戦争を行うということについて概論)の章

☆1:計(戦争の前によく熟慮すべきこと)

○1―1:戦争とは国家の大事である。国民の死活が決まるところであり、国家の存亡の分かれ目であるから、熟慮しなければならない。

5つの事柄で計り考え、7つの目算で比べ合わせて、その時の実情を求めるのである。

 

5つの事柄(基本的に見るポイント)

・1:道 背人民たちを上の人と同心にならせる政治の在り方。これがあるから人民たちは死生を共にして疑わないのである。

・2:天 陰陽や気温や時節などの自然界のめぐり。

・3:地 距離や険しさや広さや肯定などの土地の情況。

・4:将 才知や誠心や仁慈や勇敢や威厳と言った将軍の人材。

・5:法 軍隊編成の法規や官職の治め方や主軍の用度などの軍制。

 これらを将軍(重役)たる者は誰でも知っているが、より深く理解しているものは勝ち、理解が浅い者は勝てない。

 深い理解を得た者はさらに7つの目算で微調整して、実情を推測するのである。

 

7つの目算(現場で見るべきポイント)

・1:君主は敵と味方とでどちらが人心を得ているか

・2:将軍は敵と味方とでどちらが有能であるか

・3:自然界のめぐりと土地の情況はどちらに有利であるか

・4:法令はどちらが厳守されているか

・5:軍隊はどちらが強いか

・6:士卒はどちらがよく訓練されているか

・7:賞罰はどちらが公明に行われているか

 

私はこれら五事七計のことにも続いて判断しているので戦わずして勝敗を知るのである。

 

○1-2:将軍が私の五事七計に従う場合には、きっと勝つであろうから留任させる。将軍が私の五事七計に従わない場合には、負けるであろうからやめさせる。はかりごとで有利なことが分かって、さらに将軍が五事七計従うならば、出陣前の内謀がそれで整ったわけなので、そこで勝つための後押しとして出陣後に情況に基づいてその場に適した臨機応変の処置をとる。

 

○1-3:兵とは詭道(正常なやり方に反したしわざ)である。それゆえ、

強くとも敵には弱く見せかけ、

勇敢でも敵には臆病に見せかけ、

近づいていても敵には遠く見せかけ、

遠方にあっても敵には近くに見せかけ、

敵が利を求めているときはそれを誘い出し、

敵が混乱しているときはそれを奪い取り、

敵が充実しているときはそれを防備し、

敵が強い時はそれを避け、

敵が怒り猛っているときはそれをかきみだし、

敵が謙虚なときはそれを驕り高ぶらせ、

敵が安楽である時はそれを披露させ、

敵が親しみあっているときはそれを分断させる。

こうして敵の無防備を攻め、敵の不意を衝くのである。これが軍学者の言う「勢」であって、敵上に応じた対処法であるから、出陣前にはあらかじめ伝えることのできないものである。

 

○1-4:開戦の前の願掛けの段階で目算して勝てると思うのは、五事七計に従って考えた結果、その勝ち目が多いからである。目算して勝てないと思うのは五時七計に従って考えた結果、その勝ち目が少ないからである。

勝ち目が多ければ勝つが勝ち目が少なければ勝てないのであるから、勝ち目が全くないというの絶対に勝てないということのである。

 

☆2:作戦(戦争を始めるにあたって軍備の問題から動員補充などの計画)

○2-1:孫子は言う、およそ戦争の原則としては、戦車千台、輸送車千台、武具を付けた兵士十万で食料を長距離運搬するという場合には、

内外の経費、

外交上の費用、

にかわや漆などの武具の材料、

戦車や甲冑の供給などで、一日に大金を使って初めて十万の軍隊を動かせるものである。したがって戦いが長引かせるということは、軍を披露させて鋭気をくじくことにもなる。それでもって、敵の城に攻めかけることになれば戦力も尽きてなくなり、逆に長い間軍隊を露営させておいても国家の経済が窮乏する。

 そもそも軍も疲労し、鋭気もくじかれて、力も尽き財貨もなくなったということであれば他の国の諸侯たちはその困窮に付け込んで襲い掛かり、たとい味方に智謀がいてもそれを防いでうまくしのぐことはできない。だから、戦争には「不味くともすばやく切り上げる」という原則はあるが、「うまく長引かせる」という原則はあったためしがないのだ。いい上のことから、戦争の損害を十分知り尽くしていない者には、戦争の利益も十分に知り尽くすことはできないのである。

 

○2-2:戦争の上手な人は、国民の兵役は二度と繰り返して徴発せず、食料は三度と国からは運ばず、軍需品は自分の国のを使うけれども、食料は敵地のものに依存する。だから、兵糧は十分なのである。国家が軍隊のために貧しくなるというのは、遠征の場合に遠くに食料を運ぶからであって、遠征して遠くに運べばその分民衆は貧しくなる。反対に近くでの戦争なら物価が高くなり、物価が高くなれば民衆の蓄えがなくなる。民衆の蓄えがなくなれば村から出す軍役にも苦しむことになろう。戦場では戦力が尽きてなくなり、国内の家々では財物が乏しくなりで、民衆の生活費は10のうちの7まで減らされる

主君の経費も、戦車が壊れ、馬は疲れ、武具や運搬のための大牛や大車などの経費で、さらに10のうち6までも減ることになる。だから、智将は遠征したらできるだけ敵の兵糧を奪って食べるようにするのが良い。敵の1升を食べるのは味方の20升分に相当し、馬糧1石は味方の20石分に相当するのである。

 

○2-3:敵兵を殺すのは、奮い立った気勢によって利益はないのだが、敵の物質を奪い取るのは実際の利益がある。だから、車戦で車10台以上を捕獲したときには、その最初に捕獲した者に賞として与え、敵の旗印を味方のものに取り換えたうえで、獲得した車は味方のものに立ち混じって乗用させ、降参した兵卒は優遇して養わせる。これが敵に勝って強さを増すということである。

 

○2-4:以上のようなわけで、

・1:戦争は勝利を第一とするが、長引くのは良くない。

・2:戦争の利害をわきまえた将軍は、人民の生死の運命を握るものであり、国家の安危を決する主宰者である。

 

☆3:謀攻(謀慮によるう攻撃「戦わずして勝つ要道」)

○3-1:孫子は言う。およそ戦争の原則としては、敵国を傷つけずにそのままで降伏させるのが上策で、敵国を打ち破って屈服させるのはそれには劣る。

軍団を(同上)、

旅団を(同上)、

大隊を(同上)、

小隊を(同上)、

こういうわけだから100たび戦闘して100たび勝利を得るというのは、最高に優れたものではない。戦闘しないで敵兵を屈服させるのが、最高にすぐれたことである。

 

○3-2:最上の戦争は敵の陰謀をその陰謀のうちに破る事であり、

その次は敵と連合国との外交関係を破る事であり、

その次は敵の軍を打つことであり、

もっともまずいのは敵の城を攻めることである。城を攻めるという方法は、ほかに手段がなくてやむを得ず行うのである。オオダテや城攻めの四輪車を整え、攻め道具を準備するのは、三ヶ月かかって初めてでき、土塁の土盛りはさらに三ヶ月かかってやっと終わる。将軍がそれを待つ間いらだって、その怒気を抑えきれず一度に総攻撃をかけるということにでもなれば、兵士の3分の一を戦死させてしかも城が落ちないということにもなってしまう、これが城を攻めることの害である。

 それゆえ、戦争の上手な人は、敵兵を屈服させてもそれと戦闘したのではなく、敵の城を落としてもそれを攻めたのではなく、敵国を滅ぼしても長期戦によったのではない。必ず無傷のままで獲得する方法で天下の勝利を争うのであって、それゆえ軍も疲労しないで完全な利益が得られるのである。これがはかりごとで攻めることの原則である。

 

○3-3:そこで、戦争の原則としては、味方の軍勢が10倍であれば敵軍を包囲し、5倍であれば敵軍を攻撃し、倍であれば敵軍を分断させ、等しければ努力して戦い、少なければなんとか退却し、力及ばざればうまく隠れる。小勢では大群にあたりがたいのが常道だからである。だから小勢なのに強気ばかりでいるのは、大舞台のとりこになるだけである。

 

○3-4:いったい、将軍とは国家の助け役である。助け役が主君と親密であれば国家は必ず強くなるが、助け役が主君と隙があるのでは国家は必ず弱くなる。そこで、国君が軍事について心配しなければならないことは3つある

・1:軍隊が進んではいけないことを知らないで進めと命令し、軍隊が退却してはいけないことを知らないで退却せよと命令する、こういうのを「軍隊を引き留める」というのである。

・2:軍隊の事情も知らないのに、軍事行政を将軍と一緒に行うと、兵士たちは迷うことになる。

・3:軍隊の臨機応変の処置もわからないのに軍隊の指揮を一緒に行うと、兵士たちは疑うことになる。軍隊が迷って疑うことになれば、外国の諸侯たちが兵をあげて攻め込んでくる、こういうのを「軍隊を乱して自分から勝利を取り去る」というのである。

 

○3-5:そこで、勝利を知るためには5つのことがある

・1:戦ってよい時と戦ってはいけない時をわきまえていれば勝つ。

・2:大群と小勢とのそれぞれの用い方を知っていれば勝つ。

・3:上下の人々が心を合わせていれば勝つ。

・4:よく準備を整えて油断している敵に当たれば勝つ。

・5:将軍が有能で主君がそれに干渉しなければ勝つ。

これら5つのことが勝利を知るための方法である。だから、「敵情を知って味方の事情も知っていれば、100たび戦っても危険がなく、敵情を知れないで味方の事情を知っていれば、勝ったり負けたりし、敵情を知らず味方の事情も知らないのでは、戦うたびに決まって危険だ。」と言われるのである。

 

 

以上。

ここまでが1~3章の内容です。

いかがだったでしょうか?

興味を持った人は薄くてとっつき易い本なのでぜひ手に取ってみてください。

(ためしに検索すればどんな文体か、だいたい把握できると思います。)
日常生活でも生かせる場面がきっとあるはず。

それではまた。